いぼ痔(痔核)とは
いぼ痔(痔核)は、肛門周辺の血流が明かしてうっ血し、いぼに似た腫れができる疾患です。肛門の皮膚にできる外痔核と、歯状線をはさんだ奥の粘膜にできる内痔核に分けられます。
外痔核と内痔核は共に便秘などによる習慣的な強いいきみ、冷えなどの肛門への負担によって生じやすいのですが、外痔核は痛みを起こすことが多く、内痔核は出血や痔核の脱出で気付くことが多くなっています。また、適切な治療法も外痔核と内痔核では異なります。
内痔核
肛門の奥、歯状線より先の粘膜にできる痔核です。粘膜には知覚神経がないため痛みを起こすことはほとんどなく、便が擦れることによる出血や排便時に痔核が脱出する脱肛などが最初に起こる自覚症状です。脱肛は最初、自然に奥へ戻りますが、進行すると指で押さないと戻らなくなり、最終的には押しても戻らなくなり、脱肛によって肛門周囲の皮膚が炎症を起こすこともあります。また、進行すると排便に関係なく脱肛が生じることがあります。早期であれば楽な治療で完治できますので、出血や肛門の違和感に気付いたら早めに受診してください。
内痔核の進行度
Ⅰ度 | 出血することはありますが、痛みはありません |
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Ⅱ度 | 排便時に脱肛しますが、自然に元へ戻ります |
Ⅲ度 | 脱肛した際に指で押し込まないと中に戻りません |
Ⅳ度 | 脱肛を指で押しても戻らず、出たままになります |
内痔核の治療
当院では、切らずに治療できるPAO注(パオスクレー)という注射療法による治療が可能です。PAO注では、アーモンドオイルと5%フェノールを混ぜた薬液を内痔核に注射することで内痔核に栄養を送っている血管をつぶします。血管がつぶされると出血を抑えることができ、痔核が硬化・縮小します。
硬化療法の一種であり、痔核の3か所に十分な量の薬液を注射するために2回の注射が必要になります。1回目から1週間程度後に2回目の注射を行います。出血を止める効果が80%に認められるとされています。注射自体の所要時間は5分程度であり、外来で受けることができ、治療後も特に制限はありません。出血や軽度の脱肛を起こしている程度であれば、比較的早く出血がおさまります。なお、根治はできず、効果は半年から1年程度持続することが多くなっています。効果が切れてきたら再度PAO注を行うことができます。
外痔核
歯状線外側の皮膚部分にできるいぼ痔です。触れるとすぐわかり、知覚神経のある皮膚にできるため痛みを起こすことがよくありますが、出血することはほとんどありません。ただし、血液の塊が血豆のようになっている血栓性外痔核では、激しい痛みや排便時の出血を生じることがあります。
外痔核の治療法
当院では、内服薬や肛門に注入する坐薬を処方しています。内服薬は主に便を軟らかくする薬を用い、排便時の悪化を防ぎます。坐薬には、鎮痛薬、麻酔薬、炎症を抑えるステロイドがあり、症状などに合わせて適切に処方しています。軟膏と固形がある場合には、患者様が使いやすい方を処方しています。