胃がんとは
胃がんは昔から日本人の罹患率が高く、がんによる死亡原因としても長く上位にあったので研究が進み、発症のメカニズムやリスク要因、有効な治療方法や予防方法がわかってきています。現在では、早期発見できれば内視鏡による治療で日常生活に支障なく完治する可能性の高いがんです。
胃がんのほとんどは腺がんであり、分化型と未分化型に分けられます。分化型は進行がゆるやかで、未分化型は進行が速い傾向があるとされています。胃がんは比較的時間をかけて増殖することが多いですが、胃の壁を硬く厚くさせながら広がるスキルス胃がんは早期発見が難しく、進行してから発見されることが多くなっています。スキルス胃がんは未分化型が多いとされていますが、未分化型がすべてスキルス胃がんというわけではありません。なお、スキルス胃がんは比較的若い方の発症が多くなっています。
胃がんの原因
リスク要因には、ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)の感染、喫煙、塩分の過剰摂取があります。世界保健機関(WHO)の国際がん研究機関は、2014年に「胃がんの80%はピロリ菌感染が原因で、除菌によって胃がん発症を30~40%減らせる」という報告書を出しており、ピロリ菌による慢性的な胃炎によって胃粘膜の萎縮を生じると、胃がんの発症リスクが高くなることも世界のさまざまな研究で裏付けられています。
ピロリ菌感染している場合も、除菌治療に成功することで炎症や潰瘍の再発防止に高い効果を得られ、炎症の進行が止まることで胃がんリスクの高い萎縮性胃炎への進行も抑制されます。当院ではピロリ菌感染検査を行っており、陽性の場合には除菌治療も可能です。ご家族に胃がんになった方がいるなど、ピロリ菌感染リスクがある場合には、ご相談ください。
症状
早期の胃がんは症状に乏しく、進行してもはっきりした症状がないまま転移した先で症状を起こして発見されることもあります。比較的現れやすい症状も、胸やけ、吐き気、食欲不振、飲み込みにくさ、胃痛程度であり、他の消化器疾患と共通しています。市販薬でも症状を解消できることも多く、その結果、発見が遅れてしまうケースもあります。胃炎のような症状が続く場合はできるだけ速く消化器内科を受診して、胃カメラ検査を受けましょう。
胃カメラ検査は胃がんの早期発見が唯一可能な検査
胃がんは、早期発見によって完治できる可能性が高いがんです。ただし、早期胃がんには自覚症状があることの方が少なく、早期発見には自覚症状のない段階で定期的に受ける胃カメラ検査が不可欠です。一般的に胃がんリスクが上昇しはじめる40歳を超えたら、胃カメラ検査を受けることをお勧めしています。また、ピロリ菌陽性が疑われる場合や、ご家族に胃がんになった方がいる場合には、それより早めに検査を受けましょう。
当院では、内視鏡検査や治療経験が豊富な専門医が丁寧な検査を行っており、鎮静剤を使って眠っているような状態で楽に検査が受けられます。